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漢方とは中国から伝来した医術や薬術であり、漢方薬は漢方で用いる草根木皮や動物類を原料とした医薬(治療薬)である。
漢方薬専門薬局経営薬剤師の漢方相談業務上の様々な本音を語るブログです。
ホーム > 間違った漢方投与 > 葛根湯を服用し続けても治らないので病院に行くと出されたのは同じ葛根湯
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2006年06月23日(金)

葛根湯を服用し続けても治らないので病院に行くと出されたのは同じ葛根湯

 これと同様な例は、枚挙に暇がない。漢方専門薬局をやっていると、笑うに笑えぬ深刻な話だが、やはり苦笑せざるを得ない保険漢方にまつわる笑い話は日常茶飯事である。
 なかでも最も多い笑い話がこの「葛根湯」ということである。

 葛根湯をいくら続けても治らないので、止むを得ず多忙な仕事を犠牲にして、救いを求めて投与されたのが同じ葛根湯であり、ただ異なる点は、市販の葛根湯が医療用の葛根湯に変わっただけ。
 医療用ならよく効くのかもしれないなどと、殊勝な考えから張り切って服用したところが、持続する発汗と共に、いよいよますます咽喉腫痛が悪化し、汗が出ても解熱しないどころか、グッタリしてとうとう会社を休んで漢方治療を求めてやって来られるケースなど稀ではない。

 老人性皮膚炎や自己免疫性皮膚疾患が重症化しかかっているのを内服ステロイドで抑えていところへ、老人ボケが進行しているとて、抑肝散加陳皮半夏を投与して却って温めすぎて皮膚炎をますます治りにくくしていた例などは、明らかに腎陰虚に湿熱を挟んでいるところへ、当帰や川芎などの辛温の薬物によってますます痒みを増大させている。

 最も多いのは麦門冬湯や滋陰降下湯などの肺陰虚に適応する方剤を投与すべきところを小青竜湯を投与されるものだから、乾燥性の咳嗽をますます悪化させてシワガレ声になって救いを求めて来られるケースも、まだまだあとを絶たない。

 以前にも報告したが、緑内障のある人に芍薬甘草湯が投与されるケースは、もっともヒドイ部類かもしれない。

 漢方薬は正式な医薬品であり、しかも中医学の基本理論に則った弁証論治の規則を忠実に守らない限りは、なかなか適切な方剤を選択することは出来ないものである。
 ところが、日本では中医学に比較してあまりにも基礎理論が脆弱な漢方医学理論?の陰陽虚実で、方剤を解釈するものだから、実証用、虚証用などと方剤が分類され、挙句の果てには意味不明な「虚実中間証」などという分類さえマカリ通っている現実であるから、何をかイワンヤ!?

 未だに臓腑弁証が重要視されないばかりか、驚いたことに寒熱に対する認識の甘さのみならず、各五臓における「陰虚」という概念を未だに導入されていない驚くべき実体には、唖然としてしまうばかり・・・・・

 と、今回はあまりにも本音を述べ過ぎたかもしれない。

 (日本の漢方医学には、中医基礎理論を導入することが急務だと思うのだが、十年一日どころか、五十年一日なのを嘆くばかりである。)