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漢方とは中国から伝来した医術や薬術であり、漢方薬は漢方で用いる草根木皮や動物類を原料とした医薬(治療薬)である。
漢方薬専門薬局経営薬剤師の漢方相談業務上の様々な本音を語るブログです。
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2005年12月
本年最後の日だから、自分自身の失敗経験も告白して懺悔しておくべきだろう。

かなり前のこととは言え、思い出すたびに独り赤面を禁じ得ない。

といっても副作用を出したとかの大問題ではなく(そんなドジは滅多なことではあり得ないと信じている)、せっかくしっかりした紹介者がありながら、結果的にピントのずれた漢方処方をお出ししていたために、ほとんど効果なく、地元の医療用漢方を出される先生の方剤で軽快したという、なんとも恥ずかしい経験2例である。

いずれも遠方からみえられた方であるが、いつも四逆散証を的確に把握されるある著名人の御紹介で来られた教師をされる女性に、躊躇なく四逆散製剤をお出ししていたところ、それほどしっかりした効果が出ず、しばらく遠方から通ってこられていたが、たまたま地元の主治医さんが、手帳みたいなものを調べながら処方してもらった医療用の「半夏厚朴湯」エキス製剤で、次第に気分もはれつつあるとの御報告があった。

次は、これは鬱病系の男性が、当方の漢方で四逆散と葛根湯加減方の各製剤で極めて順調に軽快したので、遠方の看護婦さんを連れて来られた。

一見しっかりした方であったが、ストレスにより過換気症候群あるいはパニック症候群などと言われているが、西洋医学治療で思わしくない。
そこで、柴胡加竜骨牡蠣湯エキス製剤とともに方剤はわすれたが2種類くらいお出ししていたが、それほどピンとは来ない。
直ぐに音信が途絶えたので、どうしたかな~~と少し心配していたところへ、紹介者の報告があり、あれから地元の医師により、甘麦大棗湯エキス製剤をもらったところ、現在かなり軽快しつつあるとのことだった。

どんないい方剤と思ってお出ししたところで、ピントがしっかり合っていないとこういうことになる。

当然、漢方薬は効かなければ意味がない。
意味がないが、的確にその方に適した方剤を見つけるのは、簡単そうでも、そう簡単ではないのだ。

ここで、言い訳になるが、若い頃、まだ小生が30歳になる前だったか、中央の漢方の大家の先生ところに通い詰めて、結局まったく改善せずに、当方の薬局に来られることで軽快していった方が何人もおられた。
(現在ももちろんだが、きっと逆のケースもあるはずだ。)

それにしても、いまだに慙愧の念に耐えない2例であった。

大晦日、最終日を迎えての懺悔としたい。
投稿者 薬剤師 31日 12:03 | ちょっと憂鬱な話
コレステロールを下げることの問題点、とりわけ様々な副作用を伴いやすいスタチン製剤使用患者さんのご相談も後を絶たない。

昨日あった相談事例は、随分前に関節リウマチで漢方薬を服用されたことのあるかたが、久しぶりに見えて、リウマチのほうは緩解状態が続いていたが、ここ一ヶ月首筋から両肩にかけてやりきれないような疼痛様の凝りがひどく、ご主人の奨めもあって、当方の薬局へ相談に見えた。

一見葛根湯証特有の肩こりに類似しているので、この方の胃弱に配慮して麻黄の配合を抑えた製剤をと思った時点で、念のため、何か最近新しいことをはじめたものはないかと問えば、某製薬メーカーのスタチン製剤を一ヶ月前くらいから服用を継続しておられる!

コレステロールは、220~260であったが、定期診断を受けている主治医に、260を少し超えたときに、この製剤を投与された。

そういえば、その時に、陰でこっそり看護婦さんには、そのくらいのコレステロールで出されましたか?という言葉を思い出したとおっしゃる。

一番最近の検査では、このスタチン製剤のお陰か、コレステロール値が160にまで下がっており、主治医はこれで上等と満足そうにうなずかれていると仰る。

(実際には、コレステロールの下げすぎこそ大問題のハズだが・・・・・・・・)

もともと軽度の肩こりはあったが、これほどまでの重度凝り痛みを感じるのは初めての経験だといわれることから、スタチン製剤の副作用の可能性を疑わざるを得ない。

考えて見れば、この合成医薬品を服用する前までは、健康上に何の不安も感じない日々を送られていた。

食事も小食であり、肉食はまったくしない。

そこで、主治医には漢方専門の○○薬局の薬剤師にスタチン製剤が原因ではないか、このくらいのコレステロールで服用する必要はないと思うがという伝言とともに、服薬中止の相談をして来るようにとアドバイス。

これに類似したスタチン製剤の副作用が疑われる事例は、非常に多い。

参考文献としては、

書評:コレステロール

などがある。

実際には、なかなか看過できない問題だと思われるのである。
投稿者 薬剤師 27日 10:02 | ちょっと憂鬱な話
このブログをはじめた当初、真っ先に書きたかったのがこの事例だった。
しかしながら、その当時の強烈な悔しさが消えず、冷静さを欠いて書き損じてはいけないと思って、今日まで延ばしていた。

その当時、といっても一昨年頃の話だが、わざわざ県外のかなり遠方から紹介されて直接来局された60代の女性の慢性関節リウマチの患者さんである。

当時からその某県のリウマチ患者さんを何人も緩解に導いている実績から、紹介されたもので、当方で最も多く扱うパターンに嵌っていたので、漢方薬配合にもそんなに苦労はなかったのである。

すでにステロイドは常用中で、次第に効果が減じてそれだけでは疼痛があまり緩解しなくなっていたので、漢方薬をもとられたわけだが、同時にステロイドによる糖尿病と胃潰瘍も併発しており、そちらのほうの漢方薬も並行してお出しして、比較的すみやかに軽快しつつあった。

開業医の主治医の先生には漢方薬は内緒だったそうだが、その先生から紹介されていた糖尿病と胃潰瘍を診てもらっていた開業医の先生のところでは、漢方薬のお陰で、すべての症状が、急速に緩解しつつあることが嬉しくて、そのことを打ち明けたところ、勝手なことをしてはいけない、即刻、漢方薬を中止するように強く勧告されてしまったというのであった!

これが当方の地元の患者さんであったなら、このような理解に苦しむ医師の発言は滅多に見られないことだが、遠い県外のこととて、当方の薬局名を出したところで、何の効果もないだろう。

これが地元との大きな違いで、残念でならないが、その患者さんは開業医の先生の勧告に従って、止むを得ず漢方薬を完全に中止してしまって、その後は音信不通である。

何度も書くように、こんなことは地元ではありえない。
多くの主治医の先生方は喜んで下さり、その患者さんに漢方薬を勝手に中止しないように、とさえ応援してくれるほどである。

こういう無理解なお医者さんたちのことを、薬剤師の立場から長く遠慮して、これまで秘して来たことも多いが、当方もいい年で、行く末の短いことを考える時、言えるべきときに、あるいは書ける時にしっかり書いておくべきだと考えて、敢えて事実をそのまま記すのである。

どうしてここまで、漢方薬に無理解な先生方がおられるのか、実に不思議でならない。
患者さん御自身があんなに喜んでおられるのに、もう少し配慮があっても良さそうに思うのだが、どうしてだろう?

何度も繰り返すように、こんなことは当方の地元ではあり得ない事である。
内科系以外の特殊な疾患で、大きな病院で無いと検査設備等の必要性から、また定期的な諸検査の必要上もあって、主治医がそれらの大きい病院の場合にやや困った問題が常にある。

1~2年毎に主治医がすぐに交替するために、気のあった先生の場合はホットするのだが、再燃時に飛び入りで診てもらいに行くと、もう主治医が交替されていて、

「前のことは私は知らないんですからね!」

と患者さんにとってはショックな言われ方をされ、しょげ返って当方に訪れる患者さんも後を絶たない。

難治性疾患だけに、折々の再燃を繰り返すのを、少しでも緩解に導くお手伝いとして漢方薬をアドバイスしているものの、調子が良いと人間、ついつい漢方薬の服薬を怠ってしまうもので、そんな時に限ってといおうか、案の定と言おうか、再燃して急性炎症が勃発してしまう。

そういうときはステロイド剤等の医療を受けざるを得ないわけで、久しぶりに訪れた病院では、すでに気心の知れた主治医が交替されているというわけである。

一生付き合わないといけないかもしれない疾患に、主治医がコロコロと交替されるのに、一喜一憂の繰り返しを十年以上も繰り返しているのであった。

(もちろん、そういうことにならないためにも、もっと漢方薬を真面目に服用しましょうよ、というのも当方の本音ではあるが・・・・・・・・・・・・)
投稿者 薬剤師 16日 17:14 | ちょっと憂鬱な話
リウマチをはじめ各種膠原病の患者さんは大変多い。

地元には専門の名医がおられ、漢方薬も決して否定されないので助かっている。

リウマチも各種膠原病も、中医学的に見れば、基本的には「本証」は同類であり、「表証」において様々なバリエーションがあると思って、ほぼ間違いは無いようである。

だから、専門医による確実な診断が必要であるが、よその各病院で確定診断がつかずに漢方薬を求めてやってこられる方も、後を絶たない。

どうみても膠原病らしきときには、当方で信頼している地元の専門医(名医)に診てもらうように強く進言しても、なかなか聞き入れてくれないことも多々ある。

何軒もの病院で診てもらっても診断が付かなかったのだから、もうイヤだ、という理由からである。

しかも、幸か不幸か、膠原病との推定でお出しした漢方薬が、多少とも効を奏するので、なおさら強い勧めにも関わらず、却ってなかなか、当方が指定する専門医に行ってくれない方もいる。

現在、説得中の人もいるが、果たしていつになったら行って下さることか?!

使用することの多い漢方薬は、温経湯プラス地竜、独活寄生湯製剤プラス地竜、補中益気湯合六味丸など様々であるから、一概に言えないが、強い炎症を伴う時には、意外に地竜はものを言うような気がしてならない。
投稿者 薬剤師 14日 20:22 | ちょっと憂鬱な話
前回投稿の膠原病患者さんとは全く無関係な話。

ステロイドがなかなか減らせないとて、母親に連れて来られて適切な漢方薬をお出ししていて、比較的順調に経過して、病院治療によるステロイドも順調に減量してもらえるまでになって、親子ともども、もちろん当方も喜んでいたところへ、次第次第に漢方薬の服用が遠ざかり始めていたので、少し心配していたところ、案の定、配合中の一部の漢方薬が無くなっても、補充に来ずに、かなり杜撰な服用となっていたところへ、突然の再燃で、即入院となった。

若い女性に、何度きつく、病の重大性を説明していても、この通りである。

理想的な配合が、殆ど初回の来局だけで決定できたほどだったのだが。

病期としても、ほどほどのレベルに達していたので、主治医の指導は徹底的に守るように、すなわち生活面での注意事項など、あれだけ注意していても、人間咽喉もと過ぎればこの通りである。

何せ、40日分くらいの漢方薬を100日以上かかって服用するようでは、この難治性疾患には太刀打ちできない。

当方とて、主治医の先生に対して面目が立たない。

入院中には、さすがに漢方薬を怠ることはあるまいと思うが・・・・・・・
投稿者 薬剤師 7日 16:58 | ちょっと憂鬱な話
ある膠原病患者さんで、主治医と談判の上で当方の漢方薬治療だけに切り替えた方がある。

こういうケースは決して珍しくは無いが、人に紹介されて来られた当初から、疼痛などの苦痛のためか、人生をかなり斜めに見られている風があった。

それだけに、理想的な配合をお渡しできたと思っていても、まったく効かないとおっしゃることがしばらく続いた。

どう考えてもあっているとしか思えないので、15日分ずつをお出ししながら、当方としては珍しく頑固に漢方薬方剤を変えなかった。

配合が比較的シンプルだったため、価格的にも珍しく、一ヵ月分に換算しても、一万円を少し超える程度であった。

我慢していただいた甲斐があって、一ヵ月半後には急速に疼痛が消退した。

また、ステロイド治療を医師の許可なくして止めては困る、と強く進言していたところ、主治医と直談判して強引に近い形でステロイドを中止した。

運よくその後、再燃することなく理想的な経過を辿り、数年後には、あらゆる諸検査でマイナスとなり、自覚症状も、早くから完全に消失して、数年。

突然、現在服用中の漢方薬を飲み続けて大丈夫なのか、副作用の問題等、執拗に気にされ始めた。

何か問題でも生じたのかとお聞きすれば、何も問題はないが、副作用が心配になってきたとおっしゃる。

これにはどう答えたものか、あれだけの難治性の疾患が、僅かな配合で理想的に経過して、ほぼ根治と言ってもよいくらいの状態になっているのに、一度も感謝の言葉も無く、いつも猜疑心が強いのである。

あれほどステロイドの継続使用を恐れ、主治医も困り果てたというほどだから、今度は漢方薬にも疑いの目が来た気持ちは分からないでもないが、デリケートな当方は、かなりな無力感に襲われるのである。

自費の漢方薬だけを扱う専門薬局とはいえ、日頃から多くの方に感謝されるお言葉ばかりを頂いていると、こちらの方こそ現代社会の風潮や感覚からズレてしまっているのか、と反省させられもするが、滅多にないほどの理想的な治癒経過を辿った方だけに、僅かな感謝の言葉も無いまま、
同じ疑問点を問いただされるにしても、常に猜疑心の強い表現でおっしゃられれば、どうしても無力感に襲われる気分を打ち消しがたいのである。

こんなことから、漢方薬をアドバイスする立場のこちらのほうも、いつの間にか傷つきやすくなって心が病みはじめたか、と暗い気分になってくる。

憂鬱な秋を迎え、今度生まれ変わった時には、こんな気の休まる暇もない仕事は、二度とごめんだな~~と考えてしまうのであった。
投稿者 薬剤師 4日 08:20 | ちょっと憂鬱な話