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漢方とは中国から伝来した医術や薬術であり、漢方薬は漢方で用いる草根木皮や動物類を原料とした医薬(治療薬)である。
漢方薬専門薬局経営薬剤師の漢方相談業務上の様々な本音を語るブログです。
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2006年11月
 肝胆膵臓系の疾患に対する漢方薬は、正確な中医学的弁証論治に基づいた適切な組み合わせにかなり自信を持っているものの、些か経費が嵩む嫌いがある。
 それでも過去、求めに応じて進行した肝・胆・膵臓系の悪性腫瘍の患者さんたちにクオリティー・オブ・ライフ向上の目的で使用してもらい、その効果は主治医にも認められたケースは数多い。
 それだけに、もっと軽症のあらゆるタイプの慢性肝炎などにも評判が良い方法なのだが、他の薬局や医療用漢方に走ったために体調を崩してしまい、漢方薬の組み合わせのデリケートさをモロに経験された人もある。

 たまたまその方には中医学で言う肝腎陰虚と肝胆湿熱の合併により「内風」を伴ったやや複雑な体質であるので、うかつに陰液を損傷しかねない生薬を多量に配合すべきではない。
 もともと当方の漢方薬の組み合わせで順調に経過していたものを、最近はかなりのびのびの服用になっていることは、やはり経費的にやや高額だから止むを得ないことと残念に思っていた矢先・・・・・

 ところがやや遠ざかっている間にやられていたことは、医療用では柴胡・半夏・生姜・桂枝・川芎・当帰・人参などが豊富に含まれた方剤が出され、却って火照りと痺れ感が出現し、そのことを一般薬局に相談すると牛黄は良いとしても、さらに桂枝・川芎・当帰・人参などが含まれているためにか、ますます調子を崩し、どうしたら良いのだろうと電話がかかって来たのが昨日のことである。

 正解は、合わない漢方製剤をすべて中止する以外に方法はありませんよ、とお答えする他ないのであった。それぞれのところで頂いた漢方製剤が悪いのではなくて、合わない漢方方剤を投薬される方の判断ミスなのだから、漢方薬の責任にしてはいけませんよ、ということであるが、これに類似したケースはザラにあることで、漢方薬のハシゴというものは、船頭が多過ぎて船が山に登る譬え通りのことが生じても不思議はないのである。

 結局、もともとピントの合っている当方の漢方薬だけに戻したいということになったが、素人さんには 漢方と漢方薬は、実際には世間の想像以上にきめ細かく論理的であるということ ということまでは何度諭しても理解不可能だから、昨今やや諦め加減の心境ではあるのだった。
投稿者 薬剤師 30日 13:00 | 間違った漢方投与
 たとえどのようなタイプのアトピー性皮膚炎でアレ、中医漢方薬学的な観点から考察すれば、日本漢方というか日本の医療用漢方で繁用される小建中湯の投与には理解に困しむ。
 先日も長文のお手紙で、子供さんのアトピーが生後直ぐから発症して様々な病院治療に抵抗して悪化と軽快をくりかえし、気管支喘息まで併発しながらステロイド含有軟膏を塗り続ける状態が続いている。ほかにも免疫療法の類を受け続けており、漢方薬もここニケ月は小建中湯を投与されている。
 なんとか当方の漢方相談を申し込みたいが、親御さんに漢方利用経験が無い場合はお断りしている事情を曲げて、是非、御相談に乗ってほしいというお手紙であった。
 確認したところ、案の定、小建中湯を服用以来、一時増悪して強いステロイド含有軟膏で今はすこし軽快している状態だというので、即刻小建中湯は中止してもらった。直接来られてのご相談を受ける前からである。

 小建中湯というのは、膠飴という豊富な糖分が含まれ、痒みの原料となるものです。おまけに桂枝(桂皮)というシナモンが豊富に含まれているので、温める効果が強すぎますので、皮膚に熱感が強く赤味が生じるタイプでは、他に適切にバランスを取ってくれる漢方処方の配合が無ければ、やはり痒みを増強し、アトピーを悪化させる方向にしか作用しない場合が多いものです。
 医療用漢方では、アトピー性皮膚炎に対しても、体質改善という名目で小建中湯が投与されているケースが意外に多く、こういう根本的な▲▲▲を犯しているのが日本の漢方界のどうしようもないレベルの〇〇を示す一端かもしれません。
 どのようなタイプのアトピーであれ、少なくとも小建中湯を中止されたのは大正解です。


 というコメントをお送りしたばかりだ。公開するにはややキツイ表現があるものの、本音を書けばこういうことになる。
 人間の身体は千差万別だから、まれには小建中湯がアトピーに有効な場合もあり得るだろうが、あらゆる方向から検討しても、中医学理論的にはほとんどあり得ない方剤である。補中益気湯の場合は、陰火に有効であると言う高度な中医学的な理論からも、脾肺病としてのアトピー性皮膚炎を考える方向からも、体質によってはあり得る方剤であるが、小建中湯となれば、以上の文面中にもあるように、なかなかアトピーには適応が滅多にある方剤ではないと思われるのだが、これに対する説得力のある反論があれば、是非お聴きしたいところである。
投稿者 薬剤師 26日 13:08 | 間違った漢方投与
 我が薬局では、今はやりのメタボリックシンドロームにかなり効果のある扁鵲(へんせき)という漢方薬は、昨年まで愛用者が多かったのに、メタボリック症候群が騒がれだした途端、販売量が激減した。
 「食わずに走れ!」などと見も蓋もないアドバイスを贈っていたのが功を奏したものと思っていたが、それにしても不思議なので、ふと思いついてネット上の医薬品のお誘い販売サイトをネットサーフィンして納得した。

 知らない間にネット上では安売り合戦が始まっていたのだった。それを知って急遽どこにも負けない安価に設定し、加えて他の漢方製剤を総点検したところ、従来からどこにも負けない安価な製品も多数あったことに我ながら驚いたものの、世間並みだったものも、一律、どこにも負けない価格設定に急遽変更したのだった。

 紅顔の美少年(?)の時代にはボクサーになりたかったくらいだから、何でも負けるのは歯がゆいもの。ネット販売によるお誘い販売こそ、断じてするつもりはないが、当方のHPやブログ類を見て遠路はるばるやって来られる人が増える一方の昨今である。彼らや彼女らは、当方の腕と知識を見込んでくれたことに間違いないにしても、ネットで調べてこられるくらいだから、後々価格面で引け目を感じたくないのが人情というもの。

 我が薬局のような弱小でも、もともと日本一販売量の多い製品を複数もっているほど薬系の漢方業界というのはトテモ狭い世界である。
 だから、どこにも負けない価格設定にすれば、当然薄利になって面白くもないが、ピント合わせだけに当方の知識を利用されて、ピントが合ったからといって他の安売り店に直行されたのでは、イヨイヨもって面白くない。
 そんな不義理をされるくらいなら、どこにも負けない価格設定をしておくに限ると考えたまでのことだ。
 但し、価格ばかりを比較する本末転倒の考え方の人は、従来どおり、お断りし続ける方針に変わりはない。

 かくしていよいよ、漢方薬業界では、乱売合戦によって随証治療も弁証論治も完全に忘れ去られ、病名漢方乱立の世界に堕するのであろうか?
 医療用漢方に圧されて薬系の漢方もここまで追い込まれたということだろう。
 本末転倒の「安かろう、ピンとは合わなかろう」の世界の悪循環に陥る自縄自縛の薬系漢方業界は、もはや救いようがないのだろうか?
 比較的得意分野のはずだった慢性関節リウマチ。
 やや高齢の女性の例。
 関節部に熱感が強く、長年病院から出されているステロイド内服薬の効き目だけでは辛い日々が続くので、漢方薬の相談となった。
 初回は相当に時間をかけて相談するので、病院治療の薬以外にもニンニク製品(卵黄油入り)を摂取中であるとことが判明したので、ニンニクというのは温め過ぎる場合があるので、関節部に強い熱感がある場合には不適切だから中止するように念を入れて指導していた。

 比較的得意分野だけに半月分の漢方薬でも明らかな効果が見えたということで、一か月分に切り替えたいという要求に応えて、そのまま数ヶ月が過ぎた。
 ところが、最近、あまり最初のような効果が見えないという報告である。不思議に思いながら、念のために信頼している膠原病専門医の先生に診てもらいに行ってもらったこともある。じっとしていると疼痛は全くないが、少しでも動くと各部位が強烈に疼痛が発生し、患部にはあきらかな熱感が強い。
 このような患部に熱感が強いリウマチにこそ効果のある配合処方を組み合わせて服用してもらっているのに不思議なことであると思案しつつも、服用しないときよりも僅かにマシだからと、ダラダラと方剤を変更するにも名案が浮かばないまま、それからまた数ヶ月が過ぎた。

 しばらくして最近は、動作時の疼痛が一段と増したように思うから何とかまた配合を考えて欲しいとてご夫婦で直談判に来られたところで、思いがけず判明したのが、早く治そうとして例のニンニク製品を更に増量して熱心に併用して来たのだと言うではないか!!!

 これがやや高齢者の頑固なところか? あれだけ強く止めるように厳命?していたにも拘らず、増量してまで病気を悪化させたいタナトスの情念を止めようがないのだろうか?

 今度ばかりはウルサクおだて諭し、厳命もし、命令もし、懇願もし、ウルサク中止するようにガミガミとはなし、方剤は変えずにその後一ヶ月経過した数日前のこと。
 代理で漢方薬の補充に来られたご主人の話では明らかに効果がでて大分楽になったと安堵の胸。

 戦時中や終戦直後の栄養不足、温熱不足の日本じゃあるまいに、ましてや患部に沸々とした発赤・腫脹・疼痛と三拍子揃った炎症性疾患に、健康食品のニンニクの粒粒くらいで関節リウマチが治るどころか、悪化して当然の成り行きではないか。

 かくのごとく素人療法の恐さというものは、みずから持病を悪化させる健康食品を摂り続けて、生き地獄の世界をみずから招いていることが分からないのである。
投稿者 薬剤師 13日 22:17 | ちょっと憂鬱な話
 前回の記事「体質によっては桂枝茯苓丸の単独使用は思わぬ弊害をもたらすという現実」の続報である。

 医療用の桂枝茯苓丸エキス製剤により胃痛と生理量の増加、および生理期間の延長をみて、心配になり当方にやや遠方から御相談にみえたわけだが、気血両虚を伴った内膜症の可能性が高いので、当方では、牛膝散(ごしつさん)製剤と補中益気丸の併用をお出しした。

 桂枝茯苓丸を中止して、上記二方剤を併用してもらったわけだが、数日を経ずして胃痛は雲散霧消し、10日後にやって来た生理は、2日目に従来並みの生理痛があったものの、3日目では殆んど疼痛を感じなかった。従来から使用していた合成医薬品の鎮痛剤も少量で済み、明らかな改善効果を認めたということであった。

 補中益気丸は、人参のかわりに党参(とうじん)が配合されたものである。
 蛇足ながら、やはり牛膝散製剤と党参配合の補中益気丸は医療用漢方には見当たらなかった。

 さらに蛇足ついでに、身内の医師自身のアレルギー性鼻炎と軽度の喘息傾向の治療に、もっぱら医療用漢方にこだわり、小青竜湯や葛根湯ばかりの対症療法の繰り返しで、いつまでも中医学的な弁証論治に目を向けられない人がいる。
 そもそも電話で話の序に相談される程度だからアドバイスのしようがない。
 漢方薬はお気軽に使ってお気楽に効果が出るほど安易なものではないのだが、身内で年下の医師であっても薬剤師に対するプライドが許さないのか、いつまでも傷寒・金匱の方剤、というよりもエビデンス漢方にこだわるのだから縁がないものと諦めている。
 玉屏風散に麦味腎気丸の併用など、中医学理論による配合には全く見向きもしないのだから、縁なき衆生というべきか?
 それ以前に基礎理論を理解してもらうのにも難航するのだから、当方では何度電話で質問されても、些か呆れ加減である。
投稿者 薬剤師 7日 02:21 | 間違った漢方投与