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漢方とは中国から伝来した医術や薬術であり、漢方薬は漢方で用いる草根木皮や動物類を原料とした医薬(治療薬)である。
漢方薬専門薬局経営薬剤師の漢方相談業務上の様々な本音を語るブログです。
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間違った漢方投与

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 一例は明らかに誤った投与で、一例は投与に間違いはないが解釈が間違っている例。

 舌質紅で無苔、舌がヒリヒリして潤わず違和感が激しい。八仙丸と黄連解毒湯、滋陰降下湯でかなり寛解していたが、完全ではないので人に紹介されて大学病院の口腔外科の診察を受けた。
 漢方を専門とされる医師の診断で、漢方薬で四ヶ月で治ると断言され、五苓散エキスと神経症もあるということで半夏厚朴湯が処方された。

 その際の説明が五苓散は体内の水分を補って口の渇きを治す薬だと説明された。
 服用後、咽喉まで乾燥して咳き込むようになった。
 以前服用していた自費の漢方薬の方こそ明らかに効果があったことを悟り、五苓散と半夏厚朴湯を中止し、残っていた前記の漢方薬類を再開したところ、次第に軽くなった。

 もう一人は、咽喉が渇いて頭痛がするのでかかりつけの医師に相談したら、同じく医療用の五苓散が投与された。
 五苓散の服用で頭痛はやや緩和したが、咽喉が腫れぼったく通りが悪いので、以前、薬局のアドバイスで購入していた半夏厚朴湯エキスが手元にあったので、併用したところ軽くなった。

 かかりつけの医師にそのことを話すと、五苓散で体の水分を潤しているのに、半夏厚朴湯で乾かすというのは不思議だと言われ、プラセボ効果じゃないの?と言われたという。
 しかしながら麦門冬湯を服用すると却って咽喉の腫れぼったさはとれなかったので、この服用であっていると思うのだが、という問い合わせである。

 前者では明らかに肺腎陰虚体質者の舌炎?であるのに、燥性の強い五苓散や半夏厚朴湯の投与は明らかに間違っている。
 後者は、水湿内停による諸症状であるから、五苓散の投与は偶然正解であったが、「五苓散が体の水分を潤す」という説明は明らかに間違っている。

 正しくは五苓散の一般向けの説明としては、体内における水分の偏在を調節して、余分な湿邪は尿管を通じて体外に排出させる、とでも説明すべきであろう。
 また、半夏厚朴湯が効果を示すことは何の不思議でもなく、咽喉付近における浮腫性の水分停滞を疎通させたからに他ならない。

 昨今、各医療機関から盛んに保険漢方が投与されるようになったが、乱暴な投与や説明が目立つのでハラハラさせられる。
 昨日も、咽喉付近の明らかな熱性炎症が見られる患者さんに桂枝湯エキスが投与された人があり、服用後に却って発熱したというので相談を受けた。

 このまま保険漢方が盛んになると、ますます我が漢方薬局は下請け作業というよりも、各医療機関における漢方薬の誤投与の尻拭いと言うべきか、老体を鞭打たれるようにますます仕事が増えるのではないかと危惧しているところである。
投稿者 薬剤師 2008年7月1日 23:35

萩原朔太郎著「虚妄の正義」

 流行は、たいていの場合、それの需要者によって作られないで、それの供給者によって作られる。即ち頭の好い商人たちによって創案され、頭の悪い婦人たちによって需要される。

━萩原朔太郎著「虚妄の正義」

 今流行の防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)製剤は、その名をカタカナ名などに変えられて、テレビ宣伝やネット上でも目や耳にタコができそうなほど有名になった。
 メタボの特効薬であるが如き宣伝は本当なのだろうか?と疑ってみる必要がある。

 民間の一部の会社では大量購入により安く手に入るとて、社員の多くが嬉々として購入したのはよいが、早速副作用に見舞われた人からの相談を受けた。
 
 その防風通聖散製剤「・・・・・・」により、身体が急速にだるくなり浮腫を生じて驚愕し、病院治療を請うた。医師に五苓散製剤(白朮であるべきところを錯誤した蒼朮に置き換えられた製剤)を処方されたが、まったく回復しないという女性。

 八仙丸(麦味地黄丸)で次第に回復中。

参考文献:※防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
     ※防風通聖散を指名されても絶対に売らない
     ※一生涯販売しないであろう防風通聖散
投稿者 薬剤師 2008年6月30日 19:51


 アトピー性皮膚炎の漢方薬をネットで調べると、消風散(しょうふうさん)や十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)あるいは荊芥連翹湯(けいがいれんぎょとう)など、皮膚病専門薬的な方剤が特効薬のように書かれている割には、一部の人を除いてなかなか寛解せず、却って悪化する人も出てくるのはなぜか?

 アトピー性皮膚炎は単なる皮膚の疾患ではなく、五臓六腑すべてに関連しており、とりわけ肺・脾・腎にもっとも関係が深いという認識が足りないからである。といっても肝と心の影響もかなり強いので、結局は五臓六腑のバランス調節を行って全身の体質改善が必要なのである。

 アトピー患者が爆発的に増加したのはここ数十年のことであり、漢方治療もそれほど長い歴史がある訳ではないので、冷えが根本原因であるとか、胃腸に原因があるとか、様々に論じられているが、それほど簡単に論じられるものではないはずだ。

 すくなくとも五臓六腑のバランスを正常に戻してあげれば、結果的に治るのだから、一面的な捉え方は出来ない問題である。

 実際にはアトピー性皮膚炎に限らず多くの慢性疾患にも共通したことであり、あらゆる慢性疾患は五臓六腑のすべてに関連するものと言っても過言ではないのである。
 だからこそ、1~2種類くらいの漢方薬ではなかなか治りにくい理由がここにある。
投稿者 薬剤師 2007年12月25日 01:02
折り返し頂いたメール: さっそくのお返事、どうもありがとうございました。

 ちょうど本日が受診日だったので、月経前に火照る症状が強いことを前より強く訴えると、その時期に薬を足してみましょうか、ということになりました。

「漢方薬で温まりすぎているということなんでしょうか」
と尋ねると、
「そういう作用があるのは当帰と桂皮ぐらいで、冷え症用の薬は一切入っていないので、そういうことではないと思います」
というお答えでした。

 結局、月経前の症状が出る時期に、カネボウの加味逍遥散料(朝食前)
が出ることになりました。

 漢方薬の本(小学館『体質・症状・病気で選ぶ 漢方薬の手引き』)によると、月経不順や月経困難に使う薬なのですね。
 たしかに、月経前、火照りのほかに、便秘や、昼は眠いのに夜は目が冴える、けだるいというのもありますので、一度、服用してみようと思います。

>  この処方は合わない人がいるのは、それを見分けて使用するのが
> 専門家の役目ですから、合わない場合こそ微調整することが必要で、

 そのためには、患者の側も、自分の様子に注意して、受診のときにしっかり伝えることが必要なのですね。
 医者に対して物を言うのは、どうも遠慮がありますが、もう数回、あれこれしてみます。
 それで症状が改善されないようなら、またそのとき、考えることにします。

>  ところで、ご質問の「油断がならないセンキュウや当帰」については、
> あくまでアトピー性皮膚炎の話です。
>  アトピー性皮膚炎の人は、うかつに使用すると却って悪化する場合が
> あるからあのように書いたので、他の疾患ではそれほど神経を使う必要
> はないのです。

 早とちりで、すみません。
 よく理解できました。

 いつも、ご親切、ごていねいにありがとうございます。
(これぐらいしかできずで申し訳ないのですが、ブログで、1クリックさせていただきました。)


お返事メール:お医者さんに遠慮し過ぎて報告すべきことを伝えずにいると、いくら名医でも良い配合が出来ないと思います。漢方は西洋医学のように検査データをもとに処方を決めるのではなく、それらも参考するにせよ、結局は「弁証論治」こそが最初で最後の重要事項です。その弁証論治を正確に行うには、患者さんの服用後の体感的な情報はとても重要な要素の一つです。ですから、

> そのためには、患者の側も、自分の様子に注意して、受診のときに
> しっかり伝えることが必要なのですね。

こそ重要で、

> 医者に対して物を言うのは、どうも遠慮がありますが、

という不要な遠慮をされると、せっかく名医にかかっておりながら思うように治してもらえず、名医にかかっていたことだけが自慢という本末転倒した現実が沢山みられる昨今です(苦笑)。

投稿者 薬剤師 2007年12月12日 23:37
性別 : 女性
年齢 : 40歳~49歳
簡単なご住所 : 関西地方
御意見や御質問をどうぞ : お尋ねしたいこと:「センキュウ、当帰」の作用について

 9月に子宮筋腫での東洋医学科の受診は有効かどうかの質問をさせていただいた者です。その節は、ありがとうございました。その後、●●●●病院の東洋医学科を受診し、煎じ薬の処方を受けています。
 1日「延胡索2グラム、桂皮3グラム、紅花1グラム、牛膝2グラム、芍薬3グラム、川キュウ3グラム、トウキ5グラム、桃仁5グラム、牡丹皮3グラム」というものです。

 体調としては、元々、経血過多やひどい月経痛等の困った症状がなかったのでいいとも悪いとも言いがたいのですが、

 良「多少はあった月経痛がさらに軽くなった」、
 悪「月経前に火照るような感じがしてつらい、月経前症候群のようなものは増したような気がする」という感じでしょうか。

 月1回の定期受診でも、上記のようなことは申し上げていますが、おおよそ元気なので(この処方は合わない人もいるとのことで、食欲の有無は必ず尋ねられます)、「では同じ処方で」ということになっています(筋腫の状態については検査を受けないとわからないので、来年の早いうちにでも受けて、大きくなり続けているようなら、漢方治療を断念して手術を受けることもあり得るとは思っています)。

 それで、貴ブログを拝見していて、「近況報告」12月9日付において、「油断がならないセンキュウや当帰」とありました。センキュウや当帰は、何か副作用があるのでしょうか?
(一般向けの漢方治療や漢方薬についての書籍は何冊かもっておりまして、わたしの処方は桂枝ブクリョウ丸からブクリョウを抜いた処方に近いですが、それには副作用として、「発疹・かゆみ」「肝機能障害」とあります。そういうのは、今のところ、現れていないと思います。)

 お忙しいところ申し訳ありません。急ぎませんので、お手すきのおりがございましたら、ご教示いただければ幸いです。


お返事メール:現在、貴女が服用されている方剤の処方名は「折衝飲(せっしょういん)」です。子宮筋腫や内膜症にもしばしば応用される処方ですが、筋腫が大きい場合などでは、もっと強力な薬味の追加が必要なこともあります。
 この折衝飲に似た方剤で、川芎(センキュウ)と紅花を除いて、そのかわりに木香(もっこう)を加えたのが牛膝散(ごしつさん)と呼んで、胃にもやさしく副作用の出にくい方剤です。

 ところで、ご質問の「油断がならないセンキュウや当帰」については、あくまでアトピー性皮膚炎の話です。
 アトピー性皮膚炎の人は、うかつに使用すると却って悪化する場合があるからあのように書いたので、他の疾患ではそれほど神経を使う必要はないのです。
 ただし貴女の場合も、

「月経前に火照るような感じがしてつらい、月経前症候群のようなものは増したような気がする」

 と書かれていることから考えると、川芎(センキュウ)や桂枝、当帰など温熱性の薬味がやや応えているのば明らかだと思います。もっとバランスの良い配合をする必要があると思います。

 要するに貴女にとってやや温めすぎの方剤となっているので、川芎(せんきゅう)の入らない牛膝散に変えて四逆散を加えるとか、主方剤を腸癰湯(ちょうようとう)に変えるとか、桂枝茯苓丸に地竜を加えるとか、弁証を繰り返し行って、様々な微調整をしてもらえるのが真の漢方専門家だと思います。

 この処方は合わない人がいるのは、それを見分けて使用するのが専門家の役目ですから、合わない場合こそ微調整することが必要で、合成医薬品のような強烈な副作用が出ることは殆どあり得ないので、ピントが合うまで微調整してもらえばよいことなのですが・・・それをやってもらえないのであれば、微調整してもらえないことのほうが問題です。
投稿者 薬剤師 2007年12月11日 23:51
 タイトルのような状況だから自費の漢方薬局がいつまでも潰れずに一定の繁栄を謳歌できるのであろう。
 当方の薬局は年齢的にも体力的な限界を自覚しているので、お電話によるお問合せはすべてお断り口調で応対する習慣が定着している。それでも敢えて自費の漢方を求めて実際に直接来られる人だけの漢方相談に絞っているが、コンスタントに仕事は尽きることがない。

 昨今は医療用漢方の宣伝が行き届いて、一般病院でも保険漢方を盛んに使用されるために温補過剰による苦情を病院に持ち込まないで、当方のような漢方専門薬局で苦情相談が舞い込むケースが頻繁である。
 実にアリガタ迷惑この上ないが、漢方の評判まで落とし兼ねないこのような現象がいつまで続くのだろうか。

 本日も繰り返す膀胱炎に内科クリニックで清心蓮子飲(せいしんれんしいん)が出されて3回目の服用にして頭がボンヤリしてふらついて仕様が無いという苦情を持ち込まれたが、出されたクリニックに文句を言うべきだろう。(方剤中の朝鮮人参と黄耆の温補作用が悪影響。

 また先日は頻尿のご老人が八味丸を5年間も続けているが、一向に効果がないので自費の漢方を求めてやって来られた。附子剤の影響か、顔が紅潮し足が燃えるように暑くなっている。明らかな副作用である。
 
 某癌患者さんでは十全大補湯が出されて以後、微熱が継続して身体が火照る様になった。主治医の手前、中止するわけには行かないと言うので、清熱薬を加えてあげたら、幸いに十全大補湯の副作用が消失した。

 西洋医学の医師は、多くの場合、超多忙なために漢方を専門的に勉強するヒマが取れない。だから漢方メーカーの奨めに従って使用することが多く、正統な弁証論治にもとづいて投薬されるケースは稀である。

 それにしても温補過剰の投薬が相変わらず顕著である。

参考文献:警告:無謀な温め療法!
投稿者 薬剤師 2007年10月6日 18:13
 昼下がりまで電話での問合せが続いた奇妙な月曜日だった。いつになく実質的な本業は夕方から猛烈な多忙となってやって来たが、それまではアリガタ迷惑なお電話のお問合せばかりである。

 しかしながら一つだけ、ちょっと問題となる「セカンドオピニオンを御願いしたい」という若い女性の声から始まった内容は、放っておけなかった。ご主人が一ヶ月前から地元の漢方薬局で調合された漢方薬が調子良く、風邪を引いたので、風邪薬も調合してもらったところ、それを服用するやいなや激しい腹痛(腸管付近)が発生したため、薬局に問い合わせたところ、毒素が排出される反応だから心配ないが、量が多過ぎたかもしれないので減量して服用を継続するように言われたという。

 不安になってネットの検索で見つけた当方のHPを見て(どのHPかは不明。沢山あるので・・・)セカンドオピニオンを得たいと思って当方に電話をかけたという。
 ところが、アドバイスしようにも自家製らしき粉末薬を調合されて、処方名も成分も何も記載されておらず、柴胡・黄芩・芍薬などを入れるような話を聞いたのみであるという。
 わずかこれだけの情報では、柴胡桂枝湯や大柴胡湯の配合生薬だろうと類推する以上のことは分からない。両処方であった場合は、それほど激しい作用を生じるようにも思えないが、薬事法で決められている重要な漢方薬の処方名や成分・分量の記載が一切無い自家製の調合粉末薬というのも怪訝である。

 この情報公開の時代に、ましてや人体に投与して薬理作用を発揮する医薬品である漢方薬に、何を飲まされているか分からないということ自体が大問題であるから、即刻服薬を中止して、薬事法を遵守するまともな漢方薬局に変えるべしとアドバイスするばかりであった。


 漢方薬の処方名や成分・含量が記載されて無いものを服用するのは、極めて危険であるから、求めるほうも十分に気をつけるべきで、ほんとうは重大問題なのである。

 ただし、ここで敢えてその薬局さんを少しだけ弁護してあげると、せっかく苦労してピントの合った漢方薬を見つけてあげても、処方名や配合薬物をすべて教えていたら、他の薬局や医療用漢方、あるいは最近最も問題となっている医薬品のネット通販(具体的な医薬品をサイト上に陳列・掲載した買い物カゴ等によるお誘い販売)に逃げられるのではないかという不安からなのであろう。
 厚生労働省が何度も内部通達で医薬品をネット上でお誘い販売することは危険だから止めるように警告されていたはずだが、来年度からは法的に完全に禁止されるという噂が薬業界ではもっぱらである。
 しかしながら、このあいまいな日本国である。例によって例の如く、またまたウヤムヤになるのではないかと怪しんでいる。
投稿者 薬剤師 2007年1月15日 18:08
 肝胆膵臓系の疾患に対する漢方薬は、正確な中医学的弁証論治に基づいた適切な組み合わせにかなり自信を持っているものの、些か経費が嵩む嫌いがある。
 それでも過去、求めに応じて進行した肝・胆・膵臓系の悪性腫瘍の患者さんたちにクオリティー・オブ・ライフ向上の目的で使用してもらい、その効果は主治医にも認められたケースは数多い。
 それだけに、もっと軽症のあらゆるタイプの慢性肝炎などにも評判が良い方法なのだが、他の薬局や医療用漢方に走ったために体調を崩してしまい、漢方薬の組み合わせのデリケートさをモロに経験された人もある。

 たまたまその方には中医学で言う肝腎陰虚と肝胆湿熱の合併により「内風」を伴ったやや複雑な体質であるので、うかつに陰液を損傷しかねない生薬を多量に配合すべきではない。
 もともと当方の漢方薬の組み合わせで順調に経過していたものを、最近はかなりのびのびの服用になっていることは、やはり経費的にやや高額だから止むを得ないことと残念に思っていた矢先・・・・・

 ところがやや遠ざかっている間にやられていたことは、医療用では柴胡・半夏・生姜・桂枝・川芎・当帰・人参などが豊富に含まれた方剤が出され、却って火照りと痺れ感が出現し、そのことを一般薬局に相談すると牛黄は良いとしても、さらに桂枝・川芎・当帰・人参などが含まれているためにか、ますます調子を崩し、どうしたら良いのだろうと電話がかかって来たのが昨日のことである。

 正解は、合わない漢方製剤をすべて中止する以外に方法はありませんよ、とお答えする他ないのであった。それぞれのところで頂いた漢方製剤が悪いのではなくて、合わない漢方方剤を投薬される方の判断ミスなのだから、漢方薬の責任にしてはいけませんよ、ということであるが、これに類似したケースはザラにあることで、漢方薬のハシゴというものは、船頭が多過ぎて船が山に登る譬え通りのことが生じても不思議はないのである。

 結局、もともとピントの合っている当方の漢方薬だけに戻したいということになったが、素人さんには 漢方と漢方薬は、実際には世間の想像以上にきめ細かく論理的であるということ ということまでは何度諭しても理解不可能だから、昨今やや諦め加減の心境ではあるのだった。
投稿者 薬剤師 2006年11月30日 13:00
 たとえどのようなタイプのアトピー性皮膚炎でアレ、中医漢方薬学的な観点から考察すれば、日本漢方というか日本の医療用漢方で繁用される小建中湯の投与には理解に困しむ。
 先日も長文のお手紙で、子供さんのアトピーが生後直ぐから発症して様々な病院治療に抵抗して悪化と軽快をくりかえし、気管支喘息まで併発しながらステロイド含有軟膏を塗り続ける状態が続いている。ほかにも免疫療法の類を受け続けており、漢方薬もここニケ月は小建中湯を投与されている。
 なんとか当方の漢方相談を申し込みたいが、親御さんに漢方利用経験が無い場合はお断りしている事情を曲げて、是非、御相談に乗ってほしいというお手紙であった。
 確認したところ、案の定、小建中湯を服用以来、一時増悪して強いステロイド含有軟膏で今はすこし軽快している状態だというので、即刻小建中湯は中止してもらった。直接来られてのご相談を受ける前からである。

 小建中湯というのは、膠飴という豊富な糖分が含まれ、痒みの原料となるものです。おまけに桂枝(桂皮)というシナモンが豊富に含まれているので、温める効果が強すぎますので、皮膚に熱感が強く赤味が生じるタイプでは、他に適切にバランスを取ってくれる漢方処方の配合が無ければ、やはり痒みを増強し、アトピーを悪化させる方向にしか作用しない場合が多いものです。
 医療用漢方では、アトピー性皮膚炎に対しても、体質改善という名目で小建中湯が投与されているケースが意外に多く、こういう根本的な▲▲▲を犯しているのが日本の漢方界のどうしようもないレベルの〇〇を示す一端かもしれません。
 どのようなタイプのアトピーであれ、少なくとも小建中湯を中止されたのは大正解です。


 というコメントをお送りしたばかりだ。公開するにはややキツイ表現があるものの、本音を書けばこういうことになる。
 人間の身体は千差万別だから、まれには小建中湯がアトピーに有効な場合もあり得るだろうが、あらゆる方向から検討しても、中医学理論的にはほとんどあり得ない方剤である。補中益気湯の場合は、陰火に有効であると言う高度な中医学的な理論からも、脾肺病としてのアトピー性皮膚炎を考える方向からも、体質によってはあり得る方剤であるが、小建中湯となれば、以上の文面中にもあるように、なかなかアトピーには適応が滅多にある方剤ではないと思われるのだが、これに対する説得力のある反論があれば、是非お聴きしたいところである。
投稿者 薬剤師 2006年11月26日 13:08
 前回の記事「体質によっては桂枝茯苓丸の単独使用は思わぬ弊害をもたらすという現実」の続報である。

 医療用の桂枝茯苓丸エキス製剤により胃痛と生理量の増加、および生理期間の延長をみて、心配になり当方にやや遠方から御相談にみえたわけだが、気血両虚を伴った内膜症の可能性が高いので、当方では、牛膝散(ごしつさん)製剤と補中益気丸の併用をお出しした。

 桂枝茯苓丸を中止して、上記二方剤を併用してもらったわけだが、数日を経ずして胃痛は雲散霧消し、10日後にやって来た生理は、2日目に従来並みの生理痛があったものの、3日目では殆んど疼痛を感じなかった。従来から使用していた合成医薬品の鎮痛剤も少量で済み、明らかな改善効果を認めたということであった。

 補中益気丸は、人参のかわりに党参(とうじん)が配合されたものである。
 蛇足ながら、やはり牛膝散製剤と党参配合の補中益気丸は医療用漢方には見当たらなかった。

 さらに蛇足ついでに、身内の医師自身のアレルギー性鼻炎と軽度の喘息傾向の治療に、もっぱら医療用漢方にこだわり、小青竜湯や葛根湯ばかりの対症療法の繰り返しで、いつまでも中医学的な弁証論治に目を向けられない人がいる。
 そもそも電話で話の序に相談される程度だからアドバイスのしようがない。
 漢方薬はお気軽に使ってお気楽に効果が出るほど安易なものではないのだが、身内で年下の医師であっても薬剤師に対するプライドが許さないのか、いつまでも傷寒・金匱の方剤、というよりもエビデンス漢方にこだわるのだから縁がないものと諦めている。
 玉屏風散に麦味腎気丸の併用など、中医学理論による配合には全く見向きもしないのだから、縁なき衆生というべきか?
 それ以前に基礎理論を理解してもらうのにも難航するのだから、当方では何度電話で質問されても、些か呆れ加減である。
投稿者 薬剤師 2006年11月7日 02:21
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